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35℃を超える猛暑日になると、なぜ多くの人が真っ赤な激辛ラーメンを求めるのだろうか。一見すると理不尽に思えるこの行動について、データと専門家への取材から真面目に考察すると、意外な生理学的・心理学的な理由が見えてくる。一般に辛み成分カプサイシンの発汗作用や体温調節効果が理由と説明されることが多いが、専門家はそれだけでは説明がつかないと指摘する。
まず、辛いものを食べると体が発汗し、結果的に体温が下がるという通説がある。しかし熱中症対策の観点から見ると、カプサイシンの発汗作用は体温を大きく下げるほど強力ではないとされる。実際、猛暑日には冷たい麺類やアイスクリームなど涼を求めるメニューが売れ筋となる中で、激辛ラーメンが一定の支持を集め続けているのは、単なる体温調節の理屈では説明できない。
専門家によると、辛いものを食べたときに起こる「灼熱感」や「痛み」は、脳内でエンドルフィンなどの快楽物質を分泌させる。この作用は«ランナーズハイ»と似たメカニズムであり、暑さによるストレスや倦怠感を一時的に忘れさせ、爽快感や達成感をもたらす。つまり猛暑日のストレスからの解放として、あえて刺激の強い辛い料理を選ぶ人が多いという。
さらに、夏の食欲不振が影響しているという説もある。高温の日が続くと消化機能が低下し、さっぱりしたものしか食べたくなくなるが、逆に強い刺激があれば食欲中枢が刺激され、少量でも満足感を得やすい。辛さを求める行動は、栄養摂取のための体の防衛反応である可能性が指摘されている。実際、東南アジアやメキシコなど暑い地域の郷土料理に香辛料が多いのは、食欲増進と食品保存の知恵が関係している。
しばしば「夏に辛いものが食べたくなる」という感覚は、気温上昇に伴う身体の要求だけでなく、心理的な爽快感や食欲調整の複合的な要因によるものだ。専門家は「カプサイシンの作用では説明がつかない。暑さによるストレスからの解放と、脳内の報酬系が強く関わっている」と語る。猛暑日にあえて激辛を選ぶ行動は、現代人の夏の合理的なストレス対処法といえるかもしれない。